Ortigia  30   夜の部屋


オル 6/19 ソファ



前菜しか食べず、機嫌悪くホテルへと帰り着くと、あまつさえ頼んでおいた部屋の掃除はされず、散らかったままで、
昼の熱射を遮るため閉め切っていた部屋は、むっと澱んでいた。





オル 6/19 ティーバック



オル 6/19 チョコレート2





オル 6/21 バリティー



一階のサロンからもらって来たお茶を淹れる。
ポットはないので、お皿で蓋をして蒸らす。
フランス製ダマンのハーブティー、TISANE BALI は薔薇の花びらが広がり、仄かに甘い。

イタリアでなじみのあるハーブティーには、カモミッラ(カモミール)、サラダなどに使われるヴェレリアーナ(和名:ラプンツェル)、ヴェルベーナなどがある。


ハーブは、メソポタミア、エジプトなど古代から自然薬として利用されてきた。近年の研究では、霊長類も薬草を利用していたことが報告されている。薬草との付き合いは、人類になる以前のお猿時代から始まっていた。
即効性はあまりないかもしれないが、香りでリラックスしたり、身体の全体的な調整機能の回復をバランスを保ちながら促す作用がある。ヒトは、植物を衣食住あらゆる生活の中に取り入れてきた。
七百年も前、白いヴェールを纏ったフィレンツェの修道士たちは、庭に薬草としてハーブを育てていた。精神的な救いの他にも、肉体的な疾病から人びとを救うため、民間療法的な役割を担っていたのだ。
ルネサンス時代には、メディチ家の荘園で、薬草の研究が行われていた。イタリア料理に幅広く使われるミント(茄子と和えたり)、セージ、パンの上のフェンネル、マジョラム(ソーセージなどの肉の香りづけ)、ローズマリー、他それぞれに、医食同源の効果がある。

カモミールは、(大地のリンゴ)を意味するギリシャ語に由来し、消化促進、鎮静作用、発汗の作用としては入浴時の芳香成分として愛用されている。
熱湯を注いだ瞬間、猫のオシッコ臭を思い出してしまうのは私だけかもしれないが、黄色いカモミールの花がコップに浮かぶと、小さく円い影が幾つもコップの底に、揺れた。









オル 6/20 お茶


ルイボス( ROOIBOS) は、世界で南アフリカのシェダーバーグ山脈高原にのみ自生するハーブである。ルイボスの名前はレッドブッシュ(赤い薮)から来ており、独特の香りで奥深い味わいがする。レンガ色の細かい葉っぱは、厳しい環境で育ち、先住民族に古くから摘まれていた。
石壁と白く剥げたテーブルが朧に照らされ、静謐な夜に膝を抱える。日本は遥かに遠く、すぐそこにアフリカ大陸があることの不思議さを、思った。





オル 6/19 カモミール











Date: 2018.02.05 Category: SICILY  ORTIGIA マルコと唄う「Darling」 Comments (0) Trackbacks (0)

Ortigia 29    哀しみアコーディオン


オル 6/20 夜の路



空が群青に変わって、街の石壁にオレンジのライトが灯るころ、
昼とは別の街が現れる。

再び一張羅に着替え、予約をしたリストランテへ。







オル 6/20 ドゥオモ
夕暮れドゥオモ/



アテナ神殿。









オル 6/20 夜のギャルソン
ギャルソン/



こぢんまりとした古い建物の中は、天井も丸く洞窟のよう。




オル 6/20 鰯のマリネ
鰯のマリネ/


前菜が六種類も出る。
赤パプリカとトマトを煮込んだ、ペペロナータの海老添え、
サルデ・ア・ベッカフィーコ(鰯のマリネ)、野菜はルーコラ






オル 6/20 夜のテーブル二人







オル 6/20 ディナー前菜






オル 6/20 夜の支給



事件はプリモ(一皿目)のパスタをつついている時に起こった。
店の表からアコーディオンの音が聴こえ、十歳ほどの少年が、やおら弾きながらテーブル席にやってきた。
私は店のサービスと思い、少年に微笑みかける。
すると、少年は私のテーブルでぴったりと止まり、じっと顔を凝視する。
店とは関係のない、お鳥目集めである。

コインは全部部屋に置いてきて、筆箱にはお札しかない。
ペペオはカードしかない。

少年はくれるまでは微動だにしないといった風で、こちらは料理どころではなくなってきた。
テーブルの間隔は狭く、私の固い空気が他の席にも伝わる。
「ごめん、持ってないのよ」
と言っても全然動かない。蛇腹で一小節弾いては、止まってみせる。
その沈黙数分が20分くらいに感じられる。

向こう席の見かねた男性が手を伸ばし、少年に渡した。
次の席の男は、犬を追い払うような仕草をした。


今思えばそれだけのことが、恥ずかしさで一杯になり、子どもの家族はいるのだろうかとかいうことを想像し、次にきちんとした店であるのに子どもを入れた店に怒りが変わり、喉元まで一杯に膨らんだ。リゾットには殆ど手を付けずに店を出た。





オル 6/20 夜 ルーム貝








Date: 2018.01.30 Category: SICILY  ORTIGIA マルコと唄う「Darling」 Comments (0) Trackbacks (0)

Ortigia 28    市場のココメーロ



オル 6/20 マルコとマグロ
カジキマグロ(メカジキ)とマルコ/Waterford/F4×2



海中では、時速100キロで泳ぐという、巨大なメカジキ。
TVカメラとリポーターが魚屋に入った。

中に、ひときわ目を引く男。
店の主人と抱き合っている仁義の厚さ、一寸説明できない、眩しく目を細めた表情で煙草を噛んでいる、セクシイな口髭と、目にかかったモジャモジャの毛。女心をはらはらさせるような野生的、悪魔的魅力である。
(のちに彼の部屋の隣に住むとは、このとき夢にも思わない)

地中海に突き出した Ortigia 島の人びとにとって、肉よりも重要な食べものが魚だ。
市には肉屋はなく、(チーズやサラミといったたんぱく源の保存食はある)日本のように日干しもない。どれだけ豊な水産業かが窺える。


残念ながら、昨今急激に進む地球温暖化は、島の水陸両方を直撃しており、“地中海の恵み”も変容してきている。
海中の温度上昇による珊瑚の死滅減少は、それを食べるプランクトン、小魚、カジキマグロ、そして人間の胃袋にまで繋がっている出来事なのだ。


previ_SST_eurosip_JAS-thumbnail2.png



堀田善衛はスペイン滞在中に、その異常な暑さを何度も記している。「暑さでハエが落ちる」という記述もある。飛んでいるハエが、暑さで死んで落ちるのである。
2003年夏、ヨーロッパを大規模熱波が襲い、3万5000人の命を奪った。
アメリカ合衆国では、近年200以上の市町村で、観測史上最高気温を記録している。(アリゾナの例:最高気温が41.1℃を越える日の連続日数が39日)
ここ Ortigia では、私が訪れる一ヶ月前から、一度も雨が降っていない。





オル 6/20 朝市スイカ





オル 6/19 朝市スイカ売り
スイカ売りの IANO/


ココメーロ(スイカ)売り。二重顎の巨漢。
「Quanto costa? Quanto costa il prezzo?(それはいくらだ?)」
とコインを持って来て突き出す。怖くなり適当に逃げる。







オル 6/20 ねこ



帰り道、日陰の鉢でたくさんの仔猫が昼寝している。
暑いのでノミの数もすごい。
一匹につき10匹、計30匹のノミをとる。
指で一度押さえると三匹くらい捕まり、潰すと眼鏡に白い卵が飛び散った。まるでノミの追い網漁。





オル 6/20 22番











Date: 2018.01.17 Category: SICILY  ORTIGIA マルコと唄う「Darling」 Comments (0) Trackbacks (0)

Ortigia 27    pescatore

.

オル 6/20 牡蠣2
mollusco/アルシュ/45×55センチ



朝に水揚げし、仕入れられたばかりの魚、黒紫に鈍くひかるムール貝、牡蠣。街のコックも買ってゆく。
隣には、牡蠣をたべるための楊枝の乗ったテーブル。



オル 6/20 朝のひと
朝のひと/



何といっても、魚屋が迫力がある。
日に焼けて、黒くはならず、一寸ウォッカをひっかけてきた様な、血の色が鮮やかに透ってみえる顔ら。金色の毛を全身に生やした太い腕が伸びて、じゃらじゃらと氷の撒かれたステンレスの台に海老やアンコウを並べていく。



オル 6/20 朝市








Date: 2018.01.13 Category: SICILY  ORTIGIA マルコと唄う「Darling」 Comments (0) Trackbacks (0)

Ortigia 26   海岸線

.
オル 6/20 朝の掃除
朝の中庭掃除/




朝食のとき、シチリアへ来て初めての日本人と出会う。空港も街でも見当たらなかったので、なつかしい同郷のひとという感じでお互いに立話。
モザイクタイルが施された中庭に朝日が注ぐ。
青い海に似合う、赤のギンガム・チェックのシャツ、ブル—のシャツ、大阪から、ローマなどを廻って来た小母さんさん二人。大橋歩に似ている方のおばちゃんに、ノーを言うレクチャーを受ける。日本では「まあ」「ちょっと」など、お互いの様子を忖度しつつ会話は成立する。察しのよいことが、一種の美徳とされる。しかし、イタリアでは、こちらが断っても画を持って行かれたり、強引に押し切られたりするので、相当にはっきり意思表示をしないといけない。

素敵なのは、人びとが路ですれ違ったりするときに、気軽に「ボンジョルノ(Buongiorno)」と挨拶を交わし合うことだ。
男性は目が合うと、ちょっとにっこり微笑んでくれる。儀礼であるとわかっていても、さりげない交流が嬉しい。残念ながら日本ではこうした習慣がないばかりか、下手をするとすぐに不審者扱いだ。

「そんなんではあかんよ。もっと強くノォン」
「ノン」
「もっとノォン!」



オル 6/20 マジパン




オル 6/20朝のタオル交換


毎朝、クリーニングを終えたタオルを運んで来るひと。
雲ひとつない空。朝市へ。





オル 6/20 朝の海岸




オル 6/19 女
donna/




オル 6/19 朝市の風景
Mercato mattutino/












Date: 2018.01.12 Category: SICILY  ORTIGIA マルコと唄う「Darling」 Comments (0) Trackbacks (0)
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