君江さん

君江さん 
ダンボール/25×49センチ


〜 自分という根拠に立って  祖母の戦争体験 〜


私の祖母、キミエさんは、大正生まれの人でした。結婚のすぐ後、上海へ、祖父の仕事に伴い、渡りました。
上海行きの船に乗り、一体自分はこれからどうなるんだろうと遠ざかる故郷の海を見ながら、とても心細く思ったそうです。
上海での生活が始まってからは、家事の合間、近所の中国人の子どもたちに、散髪をしてやる話、
買い物に市場へ行けば、目方をごまかされるので、しっかり見ていないとすぐ騙されること、
家々の窓から洗濯物が干されているが、見ているとスルスルと物干竿ごと盗まれていくからびっくりしたけれど、慣れていった、などの日常の話がありました。

「クリーク」という建物に沿った川を、人々が生活に利用していて、そこでおばあちゃんは洗濯していたのだ、と言うと、どんなものだろうと想像しました。

そして、だんだん戦争も末期状態になりました。
ある日、自分たちの住む日本人居住区に、祖父の知り合いであった戦況に詳しい大使館の方がやって来て、
「ここはもう危ないから、すぐ逃げなさい」
とこっそり教えてもらったそうです。周りみんなに知れれば、パニックとなり、逃げ遅れるから
知っている人だけ先に逃れられる。その中にたまたま入れた、ということでした。
一日、逃げるのが遅ければ、駄目だっただろう、と聞きました。

引き揚げ船の中では、人でぎゅうぎゅうになり、足の形が変わったそうです。
日本の港に着いて陸を踏んだ時、初めて、生きて帰ったんだと実感が湧いたそうです。

しかし、ほとんど身一つで帰り着いた日本は、田舎はまだしも、主要都市の多くは焼け野原となっていました。


(追記に 当時の様子を思う)
 

当時を補う資料

地図 


引き上げ船

戦後、帰ることが出来なかった人も沢山いる。
帰れても、途中で家族が次々と亡くなり、孤児となった人も沢山いる、ということを後に知りました。


「1945年10月1日からかつて日本が誇った艦隊の生き残りのぼろ船に乗って、510万人以上の日本人が祖国に帰った。1947年にさらに100万人がついに祖国の土を踏んだ。
この間「逆引き揚げ」、つまり戦争中を日本で過ごした外国人が祖国に帰る作業も進行した。
連合国捕虜は100カ所以上の収容所に分散しており、栄養失調状態で、なかには肺炎にかかっている者もおり、大船収容所のような悪名高い場所では、虐待さえ受けていた。九州帝国大学で行われた生体解剖のように、捕虜にあからさまな残虐行為が行われたこともアメリカ本土に知られるようになった。」(ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』第一章 破壊された人生 より)


戦争で一番苦労するのは子ども
敗戦後

高畑勳監督の『蛍の墓』では、孤児になった「せいた」が一人路上で死んでいく姿が描かれています。
私は、映画だから、特にかわいそうな状態の子にスポットを当てて描いたのだ、と今まで思っていました。
しかし、当時としては、これが都市部での日常的光景。慢性的食糧難の時代。餓死していく人が多くいました。

祖母は、九州の田舎に身を寄せ、そこではまだ田畑もあり、貧しくても生活はしていけたそうです。
もう、亡くなってしまった祖母に体験を聞く事はできません。






                         










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Date: 2014.06.13 Category: 立憲主義は政治的でせうか Comments (1) Trackbacks (0)

この記事へのコメント:

水野洋一

Date2014.06.13 (金) 22:46:37

はじめて失礼君江さんの絵を拝見しました。蛍の墓は二度見ましたが、やはり現実の写真は訴えるものがあります。私も戦後生まれで少し忘れていましたが緊張感が伝わります。学生時代は日米安保条約反対、アメリカ帝国主義(北朝鮮ではありませんベトナム戦争反対でした。活気あり、右と左が関係なく良い意味で、日本を憂いました。米国傀儡政権が日本にありました。誰とは言いません。

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