『千代紙の春』
ワトソン/水彩、アクリル、パステル/46×52センチ
「早くなおって、学校へゆくようにならなければいけません。もうじきに花が咲くのですもの」と、お母さんは、だれにいうとなく話されました。
美代子さんは燈火の下で、千代紙をはさみで細かに切って、いろいろな花の形を造っていました。そして、病気がなおったら、お友だちと野原や、公園へ遊びにゆこうと考えていました。窓を開けると、いい月夜でした。美代子さんは、自分の造った千代紙の花をすっかり、窓の外に投げ散らしました。
小川未明『千代紙の春』より
- 関連記事
-
- 『港に着いた黒んぼ』 (2012/09/06)
- 『千代紙の春』 (2012/09/01)
- 『金の輪』 (2012/08/31)
この記事へのコメント: